2026年10月3日、東京都の八丈島沖でダイビングをしていた8人が、一時行方不明になりました。
下田海上保安部の発表を伝えた報道によると、8人は午後4時半ごろ、潜っていた場所から離れた海上で見つかり、午後5時半ごろまでにヘリコプターで全員救助されました。全員意識があり、命に別条はないということです。本当によかったです。
この記事では、まず分かっている事実を整理します。そのうえで「海の遭難の生存率」や「72時間の壁」が気になった方へ、公的な資料にある一般的な目安をまとめました。後半は、海や島の近くで犬や猫と暮らす家庭の、水辺と台風の備えです。
※この記事の数字は、公的資料にある一般的な目安です。今回の方々の状況に当てはまるものではありません。

八丈島沖ダイビング8人は全員救助|分かっていること
報道各社が伝えている下田海上保安部の発表を、2026年10月3日21時時点でまとめました。
| 項目 | 報道されている内容 |
|---|---|
| 何が起きた | ダイビング中の8人が、予定の時間になっても浮上してこなかった(水難事故) |
| 場所 | 東京都・八丈島の西およそ8.6キロの海域(八丈町の大越鼻灯台から西に約8.6キロ) |
| 人数 | ダイビング客7人とインストラクター1人の計8人 |
| 経緯 | 午前11時半ごろに潜り始め、午後0時半ごろに浮上する予定だった |
| 通報 | 午後1時50分ごろ、ダイビングボートの船長から118番通報 |
| 現場の天気 | 曇り。北東の風14メートル、うねり約3メートル。波浪注意報が出ていた |
| 捜索 | 海上保安庁の巡視船や航空機が捜索 |
| 発見 | 午後4時半ごろ(4時40分ごろとする報道もあり)、海上保安庁の飛行機が、潜っていた場所から北東に約14キロ離れた海上で8人を発見 |
| 救助の方法 | 午後5時半ごろまでに、ヘリコプターで全員を救助 |
| 容体 | 八丈島の病院に搬送。全員意識があり、命に別条はない |
発見された場所は「北東に約14キロ」「北に約10キロ」と、報道によって少し違います。なぜ予定どおり船に戻れなかったのかなど、詳しい経緯は下田海上保安部などが調べているところです。
原因については、SNSなどで推測が流れることもありますが、海上保安部の発表を待ちましょう。この記事も、新しい発表があれば見直します。
海の遭難の生存率は?水温と時間の目安
「海で遭難したら、どのくらい持ちこたえられるの?」と気になった方も多いと思います。
海で大きく関わるのは、水温と水に浸かっている時間だと言われています。ただし、実際は体格や年齢、体調、服装、ライフジャケットの有無、波や風などで大きく変わります。
水温と生存できる時間の目安
国土交通省の「水温検討第三者委員会」の資料に、アメリカ沿岸警備隊(USCG)による水温と時間の関係が載っています。
| 水温 | 意識不明までの時間 | 生存予想時間 |
|---|---|---|
| 0℃以下 | 15分以内 | 15〜45分 |
| 0〜5℃ | 15〜30分 | 30〜90分 |
| 5〜10℃ | 30〜60分 | 1〜3時間 |
| 10〜15℃ | 1〜2時間 | 1〜6時間 |
| 15〜20℃ | 2〜7時間 | 2〜40時間 |
| 20〜25℃ | 2〜12時間 | 3時間以上 |
出典:国土交通省「第2回 水温検討第三者委員会 資料」(USCGによる水温と生存時間の関係)。海上保安部のリーフレットにも、海技振興センターの資料から同じ傾向の表(0〜15℃)が載っています。
国の委員会がまとめた「水温20℃」の考え方
同じ資料では、各種の文献をもとに、次のように整理されています。
- 水中で待つときの低体温症のリスクは、水温が25℃を下回ると出てきて、15℃を下回ると重大になりうる
- 20℃以上:海中で長時間(3時間〜)救助を待ったあとでも、かなりの確率で生存が見込まれる
- 15℃以上20℃未満:短時間(1〜2時間程度)の救助待機なら、救助後に生存する可能性は高い
- 10℃未満:落水後、短時間で命に関わる可能性が高い
資料には「外部環境(気温、風速、天候)や要救助者の状態(年齢、性別、体力等)によって変化し得る」という注意書きもあります。あくまで目安です。
低体温症とは?
海上保安庁のウォーターセーフティガイドでは、低体温症を「全身が長時間寒冷環境にさらされ、低体温(35℃以下)になった状態」と説明しています。
- はじめは寒気と震え
- 深部体温が32℃以下になると、震えが逆に弱くなり、意識障害などが起こる
- 30℃以下では脈が遅くなり、不整脈を起こしやすくなる
濡れた服のままだと体温が急に奪われること、乳児や高齢の方は低体温になりやすいことも書かれています。海から上がったあとも、体を拭いて温めることが大切です。
ライフジャケットで生存率は約2倍
国土交通省と水産庁のチラシ(出典:海上保安庁)では、漁船から海に落ちた人について、平成29年〜令和3年のデータを比べています。
- ライフジャケット着用:生存77%
- ライフジャケット非着用:生存39%
着用していた人の生存率は約2倍でした。漁船の統計なので場面は違いますが、「浮いていられること」の大切さが分かる数字です。
目安から分かる教訓|浮いて待つ・早く知らせる
ここまでの目安は、あくまで一般論です。今回の8人の方の状況に当てはめたものではありません。
そのうえで公的資料から言えるのは、海では「浮いていられること」と「早く見つけてもらうこと」が大切だということです。ライフジャケットや浮力体で体を浮かせて待つこと、戻りが遅いと気づいたらすぐに118番へ通報することが、助かる可能性を高めると考えられています。
72時間の壁とは?生存率が下がるのはなぜ
「72時間 生存率」もよく検索されています。これは主に、地震で倒れた建物の下敷きになったときの考え方です。
国土交通省近畿地方整備局の資料によると、阪神・淡路大震災では、救出された人のうち生存していた人の割合は、当日の1月17日は4人に3人、翌18日は4人に1人でした。早く助けるほど生存の確率が高かったということです。
「72時間」は、こうした経験から「最初の3日間の救助が特に大事」という意味で使われる目安です。72時間を過ぎたら助からない、という意味ではありません。
実際、海上保安レポート2010年版には、八丈島の北北東の海上で転覆した漁船の船内から、約89時間ぶりに3人が救助された例が紹介されています。
海の遭難は、建物の下敷きとは条件が違います。水温や天気、浮いていられるかどうかで状況が大きく変わるため、「何時間なら大丈夫」とは言えません。
犬猫と暮らす私たちができる水辺の備え
ここからは、わたしたち飼い主の話です。夏が終わっても、海や川へ犬と出かける方は多いと思います。
海・川・ボートでは犬にもライフジャケット
- 泳ぎが得意な犬種でも、波や流れ、冷たい水で急に疲れることがある
- 背中に持ち手があるタイプは、水から引き上げやすい
- 体重と胸囲で選び、家で一度着せて慣らしておく
- 飼い主自身も着る。人が流されたら、犬を助けることもできません
出かける場所と戻る時間を誰かに伝える
今回も、予定の時間に浮上しなかったことから通報につながったと報じられています。「何時に戻る予定か」を家族や宿に伝えておくと、何かあったときに早く気づいてもらえます。
スマホは防水ケースに、海の緊急通報は118番
海上保安庁の緊急通報用電話番号は118番です。スマホを防水ケースに入れて身につけておくと、もしものときに連絡しやすくなります。
――ひとこと
柴犬と川辺に行ったとき、浅瀬だと思っていた場所で急に深くなり、ヒヤッとしたことがあります。すぐにリードを引いて事なきを得ましたが、それからは水辺に行く日は犬用ライフジャケットを持っていくようにしています。
島や海沿いで台風・大雨のときに犬猫を守る備え
八丈島では、9月30日から10月1日にかけて台風26号が近づき、土砂災害への警戒が呼びかけられました。10月3日15時の気象庁の発表を伝えた報道では、台風27号が非常に強い勢力で小笠原近海を北上する予想です。島や海沿いにお住まいの方は、最新の気象情報を確認してください。
避難のタイミングは早めに
犬や猫と一緒だと、キャリーに入れる、荷物を持つなど、避難に時間がかかります。内閣府の避難情報のガイドラインでは、警戒レベル3は「高齢者等避難」です。ペット連れの家庭は、レベル3が出たら出発できるように準備しておくと安心です。
島では船や飛行機が欠航すると、島の外へ出られません。台風が来る前に、島内の避難先や預け先を確認しておきましょう。
同行避難は「一緒に避難すること」
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、同行避難は、ペットを連れて避難場所まで安全に避難することを指します。避難所で同じ部屋に過ごせるという意味ではありません。お住まいの地域の避難所のルールを、事前に確かめておきましょう。
迷子札とマイクロチップの登録情報を確認
強い風や雷の音に驚いて、犬や猫が逃げてしまうことがあります。環境省によると、2022年6月1日から、ペットショップなどで販売される犬と猫にはマイクロチップの装着と登録が義務になりました。すでに飼っている子は努力義務ですが、装着している場合は、引っ越しや電話番号の変更のときに登録情報を変えておきましょう。迷子札とあわせて使うと安心です。
非常用持ち出し袋に入れるもの
- フードと水(最低5日分、できれば7日分)
- 常備薬・療法食
- キャリー、リード、首輪(迷子札つき)
- ペットシーツ、猫砂、うんち袋
- ワクチン接種の記録、飼い主と一緒に写った写真
- においのついたタオル
- モバイルバッテリー、懐中電灯
――ひとこと
猫のスコティッシュフォールドは、キャリーを見るだけで隠れてしまう子でした。いざというときに困らないよう、普段からキャリーを部屋に出しっぱなしにして、中でおやつをあげるようにしていました。
今日できるチェックリスト
- □ お住まいの地域のハザードマップと、ペット同行可能な避難所を確認した
- □ 迷子札の電話番号が今のものになっている
- □ マイクロチップの登録情報が最新になっている
- □ フードと水を最低5日分ストックしている
- □ キャリーに入る練習をしている
- □ 水辺に行くときの犬用ライフジャケットがある
- □ 出かける場所と戻る時間を家族に伝える習慣がある
- □ 預け先(親戚・友人・ペットホテル)の連絡先をメモした
持ち出し袋の中身は、犬猫の防災グッズチェックリスト|見落としがちな備えと停電・同行避難の準備でくわしくまとめています。
まとめ
- 八丈島沖で一時行方不明になったダイビングの8人は、10月3日午後5時半ごろまでにヘリコプターで全員救助され、命に別条はないと報じられています
- 海の遭難の生存率は、水温や浸かっている時間、体の状態、ライフジャケットの有無などで大きく変わります。数字は一般的な目安です
- 水辺では、ライフジャケットや浮力体で浮いて待てるようにし、戻りが遅ければ早めに118番へ
- 犬猫と暮らす家庭は、犬用ライフジャケット、迷子札とマイクロチップ、早めの避難の準備を見直しておきましょう
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よくある質問
八丈島で行方不明になった8人は見つかった?
はい。10月3日午後4時半ごろに海上で発見され、午後5時半ごろまでにヘリコプターで全員が救助されました。全員意識があり、命に別条はないと報じられています(10月3日21時時点)。
海の遭難の生存率は何で変わる?
水温と水に浸かっている時間が大きく関わります。さらに体格や年齢、体調、服装、ライフジャケットの有無、波や風などでも変わるため、一人ひとりの生存率を数字で言うことはできません。
72時間を過ぎると生存率はなぜ下がる?
建物の下敷きになったときなどは、時間がたつほどけがや体力の消耗、水分不足が進むためと考えられています。阪神・淡路大震災では、救出された人の生存の割合が当日は4人に3人、翌日は4人に1人でした。ただし72時間は目安で、それを過ぎて救助された例もあります。
泳げる犬にもライフジャケットは必要?
波や流れ、水の冷たさで急に疲れることがあるため、海・川・ボートでは着せておくと安心です。持ち手つきのものなら引き上げやすくなります。
台風のとき、ペット連れはいつ避難すればいい?
ペット連れは準備に時間がかかるので、警戒レベル3(高齢者等避難)が出たら動けるようにしておくと安心です。島では欠航で島外へ出られなくなるため、早めに島内の避難先を確認しましょう。
参考にした資料
- 毎日新聞「ダイビングの男女8人一時不明 東京・八丈島沖 ヘリで全員救助」
- 朝日新聞「八丈島でダイビングの8人が一時行方不明 全員救助、命に別条なし」
- 読売新聞オンライン「八丈島沖で『ダイビングの8人が浮上してこない』…下田海保などが発見、全員意識あり」
- 日テレNEWS NNN「ダイビング中の8人が一時行方不明…全員救助 命に別条なし」
- 静岡放送(SBS)「ヘリコプターで全員を救助 全員意識あり=下田海上保安部」
- 国土交通省「第2回 水温検討第三者委員会 資料」
- 青森海上保安部「冬季海難防止リーフレット(海中転落)」
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド(低体温症)
- 国土交通省・水産庁「ライフジャケット着用の有無による海中転落者の比較」
- 国土交通省近畿地方整備局「第1章 死者を減らすために」
- 海上保安レポート2010「約90時間ぶり、転覆漁船からの救出!」
- 内閣府「避難情報に関するガイドライン」
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」

